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『大いなるバビロンは倒れた!』

『大いなるバビロンは倒れた!』

30章

『大いなるバビロンは倒れた!』

1 第二のみ使いは何を発表しますか。大いなるバビロンとはだれのことですか。

今や,神の裁きの時となりました! では,神からの音信に耳を傾けてください。「また,別の,二人目のみ使いがそのあとに従って,こう言った。『彼女は倒れた! 大いなるバビロン,あらゆる国民に自分の淫行の怒りのぶどう酒を飲ませた者は倒れた!』」啓示 14:8啓示の書はここで初めて,ただしこれが最後ではありませんが,大いなるバビロンに注意を集中します。後に,17章は同バビロンのことを肉欲にふける娼婦として描写しています。それはだれのことでしょうか。これから見てゆきますが,それは宗教的な性格を持つ,地球的な規模の帝国で,サタンが神の女の胤と戦うのに用いる偽物の制度です。(啓示 12:17)大いなるバビロンとは,偽りの宗教の世界帝国です。このバビロンには,古代バビロンの宗教上の教えや慣行を保持し,その精神を表わす,すべての宗教が含まれています。

2 (イ)バビロン的な宗教が地上のあらゆる場所に分散させられたのはどうしてですか。(ロ)大いなるバビロンの最も顕著な部分とは何ですか。それはいつ強力な組織として出現しましたか。

2 エホバがバベルの塔の独り善がりな建築者たちの国語を混乱させたのは,4,000年以上の昔のバビロンでのことでした。人々は,今日に至るまで大抵の宗教の基盤となってきた背教した信仰や慣行を携えて,様々な言語群に分かれて地の果てに散らされました。(創世記 11:1-9)大いなるバビロンはサタンの組織の宗教的な部分です。(ヨハネ 8:43-47と比較してください。)今日,大いなるバビロンの最も顕著な部分は背教したキリスト教世界です。キリスト教世界は聖書ではなく,おもにバビロン的な宗教に由来する信条や形式を取り入れて,西暦4世紀に,強力な不法の組織として出現しました。―テサロニケ第二 2:3-12

3 どうして,大いなるバビロンは倒れたと言うことができますか。

3 読者は,『宗教が地上で依然として大きな力を行使しているのに,み使いはどうして,大いなるバビロンは倒れたなどと発表するのだろうか』と問われるかもしれません。では,古代バビロンが西暦前539年に倒れた後,どんな結果が生じましたか。確かに,イスラエルは解放されて故国に戻り,その地で真の崇拝を回復させました! それで,1919年に回復された霊的なイスラエルの輝くばかりの霊的な繁栄は,大いなるバビロンがその年に倒れたことを示す証拠で,その繁栄は今日まで続いており,さらに広がっています。大いなるバビロンにはもはや神の民を束縛する力がありません。その上,同バビロンはそれ自体の一般大衆の間の深刻な問題で手を焼いてきました。1919年以来,同バビロンの腐敗や不正や不道徳が大いに暴露されてきました。ヨーロッパの大抵の場所では,教会に通う人はもはやほとんどいませんし,社会主義国では宗教は「人民のあへん」とみなされることがあります。神の真理のみ言葉を愛する人々すべての目に恥ずべきものとされている大いなるバビロンは,今や,エホバの義なる裁きが同バビロンに執行されようとしているゆえに,あたかも死刑囚独房で待っているようなものです。

バビロンの不面目な倒壊

4-6 『大いなるバビロンはあらゆる国民に自分の淫行の怒りのぶどう酒を飲ませた』と言えるのは,どうしてでしょうか。

4 大いなるバビロンの不面目な倒壊を巡る事情をさらに詳しく調べてみましょう。み使いはここでわたしたちに,『大いなるバビロンはあらゆる国民に自分の淫行の怒りのぶどう酒を飲ませた』と告げています。これは何を意味していますか。それは征服と関係があります。例えば,エホバはエレミヤにこうお告げになりました。「あなたはこの激しい怒りのぶどう酒を満たした杯をわたしの手から取り,わたしがあなたを遣わすすべての国の民にそれを飲ませなければならない。そして,彼らは必ず飲んで,揺れ動き,狂人のように行動する。わたしが彼らの中に送ろうとしている剣のためである」。(エレミヤ 25:15,16)西暦前6,7世紀に,エホバは古代バビロンを用いて,背教したユダを含め,多くの国々に飲ませるため,象徴的な患難の杯の中身を注ぎ出させたので,ご自分の民さえ流刑に処せられました。その後,今度はバビロンが倒れました。なぜなら,その王が「天の主」エホバに逆らって自らを高めたからです。―ダニエル 5:23

5 大いなるバビロンもまた,何度も征服を遂げましたが,大抵,もっと巧妙な仕方でそうしてきました。大いなるバビロンは売春婦の策略を巡らし,諸国民と宗教的な淫行を犯して,『あらゆる国民に飲ませ』ました。そして,政治支配者たちを誘惑し,同バビロンと同盟および友好関係を結ばせました。また,宗教的な魅力を利用して,政治的,商業的,および経済的な圧制を企ててきました。そして,純粋に政治的,また商業的な理由で,宗教的な迫害や宗教戦争,国家間の戦争はもとより,十字軍などを助長しました。それに,そのような戦争は神のみ旨にかなうものであると言って,戦争を神聖視しました。

6 二度の世界大戦の際,戦い合う双方の側の従軍牧師が若者たちに殺し合うよう勧めたことも見逃せませんが,神道の日本,ヒンズー教のインド,仏教のベトナム,“キリスト教”の北アイルランド,ラテンアメリカその他の国の場合のように,宗教が20世紀の戦争や政治に関係してきたことは周知の事柄です。大いなるバビロンが戯れの恋をした典型的な実例は,1936年から1939年に及んだスペイン内乱に荷担したことです。その戦いでは,少なくとも60万人もの人々が殺されました。この流血事件はカトリック教会の僧職者の支持者とその協力者たちにより引き起こされましたが,教会の富と地位がスペインの合法的な政府によって脅かされたことがその原因の一つでした。

7 大いなるバビロンのおもな標的になったのはだれでしたか。同バビロンはその標的に対してどんな方法を講じましたか。

7 大いなるバビロンはサタンの胤の宗教的な部分ですから,いつもエホバの「女」,つまり「上なるエルサレム」をおもな標的にしてきました。1世紀に,油そそがれたクリスチャンの会衆の実体は女の胤であることがまさしく明らかにされました。(創世記 3:15。ガラテア 3:29; 4:26)大いなるバビロンはあの貞潔な会衆を唆し,宗教的な淫行を犯させて,これを懸命に征服しようとしました。使徒のパウロやペテロは,多くの者がそれに屈して,重大な背教が起きることを警告しました。(使徒 20:29,30。ペテロ第二 2:1-3)七つの会衆に対するイエスの音信は,ヨハネの生涯の終わりごろ,大いなるバビロンが腐敗をもたらそうとする努力の点である程度前進したことを示唆しました。(啓示 2:6,14,15,20-23)しかしイエスは,同バビロンがどれほど先まで物事を進めて行くのを許されているかをすでに示しておられました。

小麦と雑草

8,9 (イ)小麦と雑草に関するイエスのたとえ話は何を示唆していましたか。(ロ)「人々が眠っている間に」,何が起きましたか。

8 イエスは小麦と雑草のたとえ話の中で,立派な種を畑にまいた人について話されました。ところが,「人々が眠っている間に」,敵がやって来て,雑草の種をまき足して行きました。それで,小麦は雑草のために覆い隠されるようになりました。イエスはこのたとえ話を次のように説明されました。「りっぱな種をまく者は人の子です。畑は世界です。りっぱな種,それは王国の子たちです。それに対し,雑草は邪悪な者の子たちであり,それをまいた敵は悪魔です」。それから,小麦と雑草は「事物の体制の終結」の時まで一緒に育つままにされ,その話,み使いたちが象徴的な雑草を『集め出す』ことを示されました。―マタイ 13:24-30,36-43

9 イエスや使徒のパウロやペテロが警告した事柄は,実際に起きました。「人々が眠っている間に」,つまり使徒たちが死の眠りに就いた後,あるいはクリスチャンの監督たちが神の羊の群れを守りながらうとうとするようになった時,バビロン的な背教がまさしく会衆内に急に出現するようになりました。(使徒 20:31)ほどなくして,雑草は小麦よりもはるかに数が多くなり,小麦は覆い隠されて見えなくなってしまいました。女の胤は何世紀にもわたって,大いなるバビロンのゆったりとしたすそに完全に包まれてしまったかに見えました。

10 1870年代までに何が起きましたか。大いなるバビロンはそれに対してどのように反応しましたか。

10 1870年代までに,油そそがれたクリスチャンは,大いなるバビロンのみだらな習わしとの関係を絶つ断固とした努力を払い始めました。彼らはキリスト教世界が異教から取り入れた偽りの教理を捨て,聖書を大胆に使って,異邦人の時が1914年に終わることを宣べ伝えました。大いなるバビロンの主な器であるキリスト教世界の僧職者は,真の崇拝の回復を図るこの活動に反対しました。彼らは第一次世界大戦中,戦時下の興奮状態を利用して,この少数の忠実なクリスチャンのグループを根絶しようとしました。その活動がほぼ完全に阻止された1918年に,大いなるバビロンはこの点で成功したかに見えました。彼らに対して勝利を得たように思えました。

11 古代バビロンが倒壊した結果,何が起きましたか。

11 以前に触れた通り,誇り高い都バビロンは西暦前539年に権力の座からの悲惨な倒壊を経験しました。その時,「彼女は倒れた! バビロンは倒れた」という叫びが聞かれました。その世界帝国の偉大な首都は,キュロス大王の支配するメディア-ペルシャの軍の手に落ちました。都それ自体は征服された後も残存しましたが,権力の座からは現実に倒壊したため,その都に捕らわれていたユダヤ人は解放されました。彼らはエルサレムで清い崇拝を回復するために戻りました。―イザヤ 21:9。歴代第二 36:22,23。エレミヤ 51:7,8

12 (イ)現代,大いなるバビロンは倒れたと言うことができますが,それはどうしてでしょうか。(ロ)キリスト教世界はエホバから完全に退けられましたが,何がそのことを証明していますか。

12 現代も,『大いなるバビロンは倒れた!』という叫びが聞こえてきました。1918年当時のバビロン的なキリスト教世界の一時的な成功は,油そそがれた人たちの残りの者であるヨハネ級の人々が霊的な復活により回復させられた1919年に急に一変しました。大いなるバビロンは,神の民をとりこにして支配する何らかの力に関しては倒れてしまいました。キリストの油そそがれた兄弟たちは行動を起こす用意を整えて,いなごのように,底知れぬ深みから群がって出て来ました。(啓示 9:1-3; 11:11,12)彼らは現代の「忠実で思慮深い奴隷」で,主人は彼らを任命して,自分のすべての持ち物をつかさどらせました。(マタイ 24:45-47)彼らがこのようにして用いられていることは,キリスト教世界が地上でエホバを代表する者であると主張しているにもかかわらず,同世界はエホバにより完全に退けられたことを証明しています。清い崇拝は再び確立され,14万4,000人の残りの者,つまり大いなるバビロンの宿敵,女の胤の残っている者たちに証印を押す業を完了する道が開かれました。このすべては,あのサタン的な宗教組織に決定的な敗北をもたらす合図となりました。

聖なる者たちの忍耐

13 (イ)第三のみ使いはどんなことを発表しますか。(ロ)野獣の印を受ける者たちに関して,エホバはどんな裁きを行なわれますか。

13 今や,第三のみ使いが語ります。お聴きください!「また,別のみ使い,三人目の者が彼らの後に従い,大声でこう言った。『野獣とその像を崇拝して,自分の額または手に印を受ける者がいれば,その者は,憤りの杯に薄めずに注がれた神の怒りのぶどう酒を飲むことにな』」。啓示 14:9,10[前半]啓示 13章16節と17節では,主の日の期間中,野獣の像を崇拝しない人たちは苦しんだり,殺されたりする場合さえあることが明らかにされました。今度は,エホバが,「その印,つまり野獣の名もしくはその名の数字を持つ」人々を裁く決意をしておられることが分かります。それらの人々はエホバの怒りの苦い「憤りの杯」からいやおうなく飲まされることになります。それは彼らにとって何を意味するでしょうか。西暦前607年に,エホバがエルサレムに「憤りの杯」から強制的に飲ませた時,その都はバビロニア人の手により「奪略と崩壊,飢えと剣」に遭遇しました。(イザヤ 51:17,19)同様に,地の政治強国やその像,つまり国際連合を偶像として崇拝する人たちがエホバの憤りの杯から飲む時,その結果は彼らにとって災いとなります。(エレミヤ 25:17,32,33)彼らは完全に滅ぼされてしまいます。

14 野獣とその像を崇拝する人々は滅ぼされる前でさえ,何を被らなければなりませんか。ヨハネはそのことをどのように描写していますか。

14 しかし,その滅びが起きる前でさえ,野獣の印のある人々はエホバの不興という責め苦をもたらす影響を被らなければなりません。み使いは野獣とその像を崇拝する者たちについて語り,ヨハネにこう知らせます。その者は聖なるみ使いたちの見るところで,また子羊の見るところで,火と硫黄による責め苦に遭わされるであろう。そして,彼らの責め苦の煙は限りなく永久に上り,彼ら,すなわち,野獣とその像を崇拝する者,まただれでもその名の印を受ける者には,昼も夜も休みがない」― 啓示 14:10後半11

15,16 啓示 14章10節の「火と硫黄」という言葉にはどのような意味がありますか。

15 中には,この句で言及されている火と硫黄は地獄の火が実在することを示す証拠であると考えた人もいます。しかし,同様の預言をちょっと調べてみると,その文脈の中のこれらの言葉の真の意味が分かります。昔のイザヤの時代に,エホバはエドムの国民がイスラエルに対して抱いた敵意のゆえに処罰されることを同国民に警告されました。エホバはこう言われました。「その奔流は歴青に,その塵は硫黄に必ず変えられ,その地は必ず燃える歴青のようになる。それは夜も昼も消されることがなく,その煙は定めのない時に至るまで立ち上る。彼女は代々乾き切ったままとなり,限りなく永久にだれもそこを通り過ぎる者はいない」― イザヤ 34:9,10

16 エドムは永遠に燃やされるため,ある神話上の地獄の火の中に投げ込まれましたか。もちろん,そうではありません。かえって,その国民はあたかも火と硫黄で完全に焼き尽くされたかのように,世の舞台から完全に姿を消しました。処罰の結末は永遠の責め苦ではなく,「空漠……荒漠……無」でした。(イザヤ 34:11,12)「定めのない時に至るまで立ち上る」煙は,そのことを生き生きと例証しています。家が全焼すると,火炎が消えた後でも,しばらくの間,灰の中から煙が出て来るので,壊滅的な大火災があったことを傍観者に示す証拠となります。今日でさえ,神の民はエドムの滅びから学べる教訓を覚えています。こうして,『彼女の燃える煙』は象徴的な仕方で依然として立ち上っています。

17,18 (イ)野獣の印を受ける人々は結局どうなりますか。(ロ)野獣を崇拝する者たちはどのようにして責め苦に遭わされますか。(ハ)『彼らの責め苦の煙が限りなく永久に上る』というのは,どうしてでしょうか。

17 野獣の印を持っている人々もまた,あたかも火によるかのように,完全に滅ぼされます。後の章の預言が明らかにしているように,彼らの死体は動物や鳥が食べることができるよう埋葬されずに放置されます。(啓示 19:17,18)ですから,文字通り永久に責めさいなまれるのでないことは明らかです! 彼らはどのようにして「火と硫黄による責め苦に遭わされる」のでしょうか。真理がふれ告げられて,彼らのことが暴露され,来たるべき神の裁きについて警告されるからです。したがって,彼らは神の民のことをあしざまに言い,できれば,ずる賢い仕方で政治的な野獣を説得して,エホバの証人に対して迫害をさせたり,証人たちを殺させたりさえします。それが最高潮に達すると,それら反対者たちは火や硫黄でなされるように滅ぼされてしまいます。その後,エホバの正当な主権に対して万一再び異議が申し立てられるような場合,彼らに関する神の裁きは試金石になるという意味で,「彼らの責め苦の煙は限りなく永久に上り」ます。例の問題は未来永劫にわたって解決されることになるでしょう。

18 今日,だれが,責め苦をもたらす音信を伝えていますか。象徴的ないなごには,額に神の証印のない人々を責め苦に遭わせる権威があることを思い出してください。(啓示 9:5)み使いの導きを受ける,それらのいなごが,責め苦に遭わせる者たちであることは明らかです。その象徴的ないなごは大変執ようで,「彼ら,すなわち,野獣とその像を崇拝する者,まただれでもその名の印を受ける者には,昼も夜も休みがない」ほどです。そして,最後に,彼らが滅ぼされた後,エホバの主権の正しさを立証する,あの記念碑的な証拠,つまり「彼らの責め苦の煙」は限りなく永久に上って行きます。その立証が完了するまで,ヨハネ級の人たちが忍耐できますように。み使いが,「ここが,聖なる者たち,すなわち神のおきてとイエスの信仰を守る者たちにとって,忍耐となるところである」と結んでいる通りです。啓示 14:12

19 聖なる者たちにはどうして忍耐が要求されるのでしょうか。ヨハネは彼らを力づけるどんなことを伝えていますか。

19 そうです,『聖なる者たちの忍耐』とは,彼らがイエス・キリストを通して全き専心をもってエホバを崇拝することを意味しています。彼らの音信は人気のあるものではありません。それは反対や迫害,殉教の死をさえ招く場合があります。しかし,彼らはヨハネが次のように伝えている事柄によって力づけられています。「またわたしは,天から出る声がこう言うのを聞いた。『こう書きなさい: 今からのち主と結ばれて死ぬ死人は幸いである。しかり,彼らはその労苦を休みなさい,彼らの行なったことはそのまま彼らに伴って行くからである,と霊は言う』」― 啓示 14:13

20 (イ)ヨハネが伝えている約束は,イエスの臨在に関するパウロの預言とどのように調和していますか。(ロ)サタンが天から放逐された後に亡くなる油そそがれた者たちには,どんな特異な特権が約束されていますか。

20 この約束は,イエスの臨在に関するパウロの次のような預言とよく調和しています。「キリストと結ばれて死んでいる者たちが最初によみがえ(ります)。その後,生き残っているわたしたち生きている者[つまり,主の日まで生き残る,油そそがれた者たち]が,彼らと共に,雲のうちに取り去られて空中で主に会い(ます)」。(テサロニケ第一 4:15-17)サタンが天から放逐された後,キリストと結ばれて死んでいる者たちが最初によみがえりました。(啓示 6:9-11と比較してください。)その後,主の日の期間中に亡くなる,油そそがれた者たちには,特異な特権が約束されています。天で霊者としての命を受ける彼らの復活は,即座に,つまり「またたくまに」行なわれるのです。(コリント第一 15:52)それは何と驚くべき復活でしょう。しかも,彼らの義の業はそのまま天の領域で続いてゆくのです。

地の収穫物

21 ヨハネは「地の収穫物」についてどんなことをわたしたちに告げていますか。

21 ヨハネがわたしたちにさらに次のように告げているように,ほかの人たちもまた,この裁きの日に益を受けます。「またわたしが見ると,見よ,白い雲があり,その雲の上には人の子のような者が座っており,その頭には黄金の冠があり,その手には鋭い鎌があった。また,別の[第四の]み使いが神殿の聖なる所から現われ出て,雲の上に座っている者に大声でこう叫んだ。『あなたの鎌を入れて刈り取ってください。刈り取る時が来たからです。地の収穫物はすっかり熟しているのです』。すると,雲の上に座っている者がその鎌を地に突き入れ,地は刈り取られた」― 啓示 14:14-16

22 (イ)黄金の冠を着けて,白い雲に座っている,その方はどなたですか。(ロ)その収穫の最高潮はいつ,またどのように訪れますか。

22 白い雲に座っておられる方の実体については,不確かなところはありません。黄金の冠を着けて,白い雲に座っている,人の子に似たその方は,明らかにダニエルも幻の中で見たメシアなる王イエスです。(ダニエル 7:13,14。マルコ 14:61,62)しかし,ここで預言されている収穫物とは何ですか。イエスは地上にいた時,弟子を作る業を人類の世界という畑の収穫になぞらえられました。(マタイ 9:37,38。ヨハネ 4:35,36)この収穫の最高潮は,イエスが王位に就き,み父のために裁きを執行なさる,主の日に到来します。ですから,イエスが支配してこられた1914年以後の時代は,収穫物を取り入れる喜びの時代でもあります。―申命記 16:13-15と比較してください。

23 (イ)刈り入れを始めるようにという命令はだれから出されますか。(ロ)1919年以来,今日まで,どんな収穫が行なわれてきましたか。

23 イエスは王ならびに裁き主ですが,刈り入れを始める前に,ご自分の神エホバからの命令を待っておられます。その命令はみ使いにより,「神殿の聖なる所」から出され,イエスは直ちにその命令に従われます。まず最初に,1919年以来,14万4,000人の人たちの収穫をご自分のみ使いたちに完了させます。(マタイ 13:39,43。ヨハネ 15:1,5,16)次に,ほかの羊の大群衆を取り入れる収穫が行なわれます。(ヨハネ 10:16。啓示 7:9)歴史は,1931年から1935年にかけて,それらほかの羊のかなりの数の人々が出現し始めたことを示しています。1935年に,エホバは啓示 7章9節から17節の大群衆の真の実体をヨハネ級の人たちに理解させ始められました。それ以後,この大群衆を取り入れることがたいへん強調されました。2005年までに,その人数は600万人をはるかに超えて,なお増加しています。確かに,人の子のような方はこの終わりの時の間,豊かな収穫物を喜びにあふれて刈り取ってこられました。―出エジプト記 23:16; 34:22と比較してください。

地のぶどうの木を踏む

24 第五のみ使いの手には何がありますか。第六のみ使いは呼ばわって何と言いますか。

24 救いの収穫が完了すると,別の収穫を行なう時が来ます。ヨハネはこう伝えています。「また,さらに別の[第五の]み使いが天にある神殿の聖なる所から現われ出たが,彼も鋭い鎌を持っていた。また,さらに別の[第六の]み使いが祭壇から現われ出たが,彼は火に対する権威を持っていた。そして,鋭い鎌を持つ者に大声で呼ばわって言った,『あなたの鋭い鎌を入れて,地のぶどうの木の房を集めなさい。そのぶどうは熟したからである』」。啓示 14:17,18み使いの大軍には,主の日の期間中,良いものを悪いものから分ける大きな収穫の業がゆだねられています!

25 (イ)第五のみ使いが神殿の聖なる所から来たことは,何を示唆していますか。(ロ)刈り取ることを始めるようにという命令が,「祭壇から現われ出た」み使いから来るのは,どうしてふさわしいことですか。

25 第五のみ使いは神殿の聖なる所のエホバのみ前から来ます。ですから,最後の収穫もまた,エホバのご意志にしたがって行なわれます。そのみ使いは,「祭壇から現われ出た」別のみ使いを通して伝えられた音信によって,自分の業を始めるよう命じられます。このことは大変重要な意味を持っています。というのは,祭壇の下にいる忠実な魂が,「聖にして真実な,主権者なる主よ,あなたはいつまで裁きを控え,地に住む者たちに対するわたしたちの血の復しゅうを控えておられるのでしょうか」と尋ねていたからです。(啓示 6:9,10)地のぶどうの木の収穫が行なわれることにより,復しゅうを求めるこの叫びに対する十分の答えが出されます。

26 「地のぶどうの木」とは何ですか。

26 しかし,「地のぶどうの木」とは何ですか。ヘブライ語聖書の中で,ユダヤ国民はエホバのぶどうの木であると言われていました。(イザヤ 5:7。エレミヤ 2:21)同様に,イエス・キリストと,神の王国でキリストと共に仕える人たちは,ぶどうの木であると言われています。(ヨハネ 15:1-8)このような背景の中で,ぶどうの木の重要な特徴は,実を生み出すことです。ですから,ぶどうの木である真のクリスチャンは豊かに実を生み出して,エホバに賛美をもたらしてきました。(マタイ 21:43)ゆえに,「地のぶどうの木」とは,そのような本物のぶどうの木ではなく,サタンの偽のぶどうの木,つまり人間を支配する,サタンの政府の腐敗した見える体制であるに違いありません。その体制には,何世紀にもわたって生み出された悪霊的な実の様々な「房」が付いています。背教したキリスト教がたいへん顕著な部分となっている大いなるバビロンは,この毒のあるぶどうの木に対して大きな影響力を行使してきました。―申命記 32:32-35と比較してください。

27 (イ)鎌を持ったみ使いが地のぶどうの木を集めると,何が起きますか。(ロ)ヘブライ語聖書のどんな預言は,その収穫の規模を示唆していますか。

27 裁きは必ず執行されます!「すると,み使いは鎌を地に突き入れて,地のぶどうの木の取り入れを行ない,それを神の怒りの大きなぶどう搾り場に投げ込んだ。そして,その搾り場は都市の外で踏まれ,搾り場から血が出て馬のくつわに届くほどになり,千六百ファーロングの距離に及んだ」。啓示 14:19,20このぶどうの木に対するエホバの憤りについて知らされてから,すでに久しくなります。(ゼパニヤ 3:8)イザヤ書の預言によれば,ぶどう搾り場が踏まれる時,諸国民すべてが滅ぼされることには疑問の余地がありません。(イザヤ 63:3-6)ヨエルもまた,膨大な「群がる民」,つまり諸国民すべてが「決定の低地平原」の「ぶどうの搾り場」で踏まれて滅ぼされることを預言しました。(ヨエル 3:12-14)それは本当に,二度と行なわれないような驚異的な収穫です! ヨハネの幻によれば,単にぶどうが収穫されるだけでなく,象徴的なぶどうの木全体が切り倒され,ぶどう搾り場に投げ込まれて踏まれます。ですから,地のぶどうの木は根絶されてしまい,二度と再び生えることはありません。

28 だれが地のぶどうの木を踏みますか。ぶどう搾り場が『都市の外で踏まれる』ことは,何を意味していますか。

28 幻の中では,それは馬によって踏まれます。なぜなら,ぶどうの木が踏まれて出て来る血は「馬のくつわ」に届くからです。普通,「馬」という言葉は軍事行動を指していますから,これは戦いの時であるに違いありません。イエスに従って,サタンの事物の体制に対する最後の戦いに臨む,天の軍勢は,「全能者なる神の憤りの怒りのぶどう搾り場」を踏むと言われています。(啓示 19:11-16)この天の軍勢は明らかに,地のぶどうの木を踏む者たちです。ぶどう搾り場は「都市の外で踏まれ」ます。すなわち,天のシオンの外で踏まれます。実際,地のぶどうの木が地上で踏まれるのはふさわしいことです。しかしそれは,天のシオンを地上で代表している女の胤の残っている者たちが害を受けないという意味で,やはり,「都市の外で踏まれ」ます。それら残っている者たちは大群衆と共に,エホバの地上の組織の取り決めの中に安全に隠されることでしょう。―イザヤ 26:20,21

29 ぶどう搾り場から流れる血はどれほどの深さになり,どれほど遠くに達しますか。このすべては何を示唆していますか。

29 この生き生きとした幻と,ダニエル 2章34節ならびに44節で述べられている王国の石で地の諸王国が打ち砕かれることには類似点があります。絶滅が起きるのです。ぶどう搾り場から流れる血の川は非常に深くて,血は馬のくつわに届き,川の距離は1,600ファーロングにも達します。 * 4の4倍に10の10倍を掛けて得られる,この大きな数字(4×4×10×10)は,滅びを示す証拠が全地を包含するという音信を強調しています。(イザヤ 66:15,16)その滅びは徹底的なもので,取り消すことができません。サタンの地のぶどうの木は二度と再び根づきません!―詩編 83:17,18

30 サタンのぶどうの木の実にはどのようなものがありますか。わたしたちはどんな決意を抱いているべきでしょうか。

30 今や,終わりの時も相当経過したので,これら二種類の収穫に関する幻にはたいへん重要な意味があります。サタンのぶどうの木の実を見るには,わたしたちの周囲を見回しさえすればよいのです。堕胎その他の殺人行為,同性愛,姦淫その他の不道徳,不正直,および自然の情愛の欠如 ― このような事柄すべてのために,この世はエホバの目には実に不快なものとなっています。サタンのぶどうの木は,「毒草や苦よもぎの実」を結んでいます。破壊的で,偶像を崇拝する,その歩みは,人間の偉大な創造者を辱めています。(申命記 29:18; 32:5。イザヤ 42:5,8)ヨハネ級の人たちと共に活発に交わって,イエスがエホバの賛美のために生み出しておられる健全な実の収穫にあずかるのは,何とすばらしい特権でしょう。(ルカ 10:2)わたしたちはすべて,この世のぶどうの木によって決して毒されないように決意し,そのようにして,エホバの不利な裁きが執行される時,地のぶどうの木と共に踏まれないようにすることができますように。

[脚注]

^ 29節 1,600ファーロングは約300㌔,または180㍄です。―啓示 14:20,「参照資料付き 新世界訳聖書」,脚注。

[研究用の質問]

[208ページの囲み記事]

『彼女の淫行のぶどう酒』

大いなるバビロンの顕著な部分はローマ・カトリック教会です。同教会はローマの教皇によって統治されており,教皇は各々使徒ペテロの後継者であると言われています。以下の事柄は,それらいわゆる後継者に関する公表された事実の一部です。

フォルモスス(891-896年): 「死後9か月たって,フォルモススの遺体は教皇の埋葬室から掘り出され,ステファヌス[新教皇]が議長を務めた『死体』会議に出され,糾弾された。この死去した教皇は,教皇位に対する不当な野望を抱いたとして告発され,その行為はすべて無効と宣告された。……遺体からは教皇の法衣がはぎ取られ,右手の指は切除された」―「新カトリック百科事典」(英文)。

ステファヌス6世(896-897年): 「[フォルモススの遺体に対する裁判が行なわれて]二,三か月後,激しい反動が生じて,教皇ステファヌスの任期は終わった。同教皇は教皇としてのしるしをはく奪され,投獄され,そして絞殺された」―「新カトリック百科事典」(英文)。

セルギウス3世(904-911年): 「彼のすぐ前の二人の前任者は……刑務所で絞殺された。……同教皇はローマでテオフィラクトゥス一家の支持を受け,その娘の一人マロツィアによって息子(後の教皇ヨハネス11世)をもうけたと考えられている」―「新カトリック百科事典」(英文)。

ステファヌス7世(928-931年): 「ヨハネス10世……は教皇在位期間の終わりの何年かの間,ローマの女性貴族マロツィアの憤りを招いて投獄され,暗殺された。次いで,マロツィアは教皇位を教皇レオ6世に授けたが,同教皇は6か月半在位した後に死去した。ステファヌス7世は多分,マロツィアの影響力を利用して,レオ6世の跡を継いだ。……ステファヌス7世は教皇として2年間在位したものの,マロツィアの支配下にあって無力であった」―「新カトリック百科事典」(英文)。

ヨハネス11世(931-935年): 「ステファヌス7世が死去するや……テオフィラクトゥス家出身のマロツィアは,20代の初めごろの青年だった息子ヨハネスのために教皇位を得た。……教皇としてのヨハネスは,その母親に支配された」―「新カトリック百科事典」(英文)。

ヨハネス12世(955-964年): 「彼は多分18歳にもなっておらず,同時代の種々の報告は,彼が霊的な事柄に関心がなく,粗野な道楽にふけり,放とうの生活をほしいままにした点で一致している」―「教皇に関するオックスフォード辞典」(英文)。

ベネディクトゥス9世(1032-1044年; 1045年; 1047-1048年): 「彼は教皇位を代父に売り渡し,またその後,教皇位の返還を二度要求したことで悪名を馳せた」―「新ブリタニカ百科事典」(英文)。

このように,これらの,また他の教皇は忠実なペテロの模範に従うどころか,悪い影響を与える人物でした。彼らは自分たちの支配した教会を腐敗させるイゼベルの影響だけでなく,流血の罪や霊的ならびに肉体的な淫行をも容認しました。(ヤコブ 4:4)1917年に,聖書研究者は,このような多くの事実を「終了した秘義」と題する本に,ありのまま詳しく列挙しました。これは,聖書研究者たちが当時,『あらゆる種類の災厄をもって地を撃った』一つの方法でした。―啓示 11:6; 14:8; 17:1,2,5

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即位したキリストはみ使いの支持を得て,裁きを実施されます

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バビロンが西暦前539年に倒れた後,その捕らわれ人は解放されました