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新しい契約の終了後 ― 千年王国

新しい契約の終了後 ― 千年王国

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新しい契約の終了後 ― 千年王国

1,2 (イ)今日,実施されている新しい契約の恩恵を受けている何百万もの人々を,だれになぞらえることができるでしょうか。(ロ)新しい契約の条項には何と述べられていますか。

世界中の何百万もの人々は,新しい契約に入っていませんが,施行されているその契約のすばらしい恩恵をすでに受けています。それらの人々は,モーセの律法契約が実施されていた時代にイスラエルで生活していた,イスラエル人以外の住民に似ています。(出エジプト記 20:10)現代の霊的なイスラエル人の残りの者と交わって恩恵を受けている,増大する,それら何百万もの人々は,どのようにしてそうなりましたか。

2 新しい契約の条項を定めた方は,エレミヤ 31章31節から34節の預言の中でこう言われました。「わたしは彼らの内にわたしの律法を置き,彼らの心の中にそれを書き記す。そして,わたしは彼らの神となり,彼らはわたしの民となるであろう」。

3 (イ)古いモーセの契約の律法はどんな形態でイスラエルに与えられましたか。(ロ)クリスチャン・ギリシャ語聖書が書き始められる以前に,神は新しい契約の律法をどこに書き記されましたか。

3 律法契約の場合,エホバ神は仲介者であるモーセを介して,『数々の定めから成っていた手書きの文書』を生来のイスラエルにお与えになりました。(コロサイ 2:14)では,新しい契約の律法についてはどうですか。その仲介者はその律法を石の上に刻んだり,写本に書いたりしようとはされませんでした。その仲介者はご自分の書いたものを何も残されませんでした。新しい契約の律法がどのようなものかは,霊感を受けて記されたクリスチャン・ギリシャ語聖書から確かめられます。(テモテ第二 3:16)しかし,クリスチャン・ギリシャ語聖書が西暦41年ごろに書き始められる以前でさえ,エホバ神は新しい契約の律法を書き始められました。それはいつでしたか。西暦33年のペンテコステの日のことでした。どこに書き始められましたか。それは,ずっと以前に,「わたしは,わたしの律法を彼らの思いの中に置き,それを彼らの心の中に書き記す」と約束された,まさにそのとおりの所に書き始められました。―ヘブライ 8:10

4 神はその律法をご自分の僕たちの心に書き,その思いの中に置かれるので,どんな良い影響がもたらされるようになりましたか。

4 それらの律法は心に刻まれたのですから,それに従う人たちから愛されなくなるようなことは,まず考えられなかったでしょう。それらの律法が「彼らの思いの中に」置かれたのなら,それを忘れるようなことはまずなかったでしょう。ですから,それらの律法を守る人たちは,詩編 119編97節の言葉のとおり,「わたしはどんなにあなたの律法を愛していることでしょう。それは一日じゅうわたしの思いとなっています」と語ります。そのような人々は,エホバの仲介者イエス・キリストを通して与えられたその律法に,自分自身の最も深いところから発する愛情を注ぎます。ですから,正しい動機を抱いて,それらの貴重な律法を守ることを決意しています。このことは,新しい契約に入っている「小さな群れ」と,新しい契約に入ってはいませんが,そのもとにある「ほかの羊」の「大群衆」の双方に当てはまります。―ヨハネ第一 5:3; ヨハネ 14:15と比較してください。

王国にかかわる論争が前面に出される!

5 新しい契約の仲介者は,マタイ 24章12-14節で何を予告されましたか。

5 新しい契約の律法を守る人々は,その仲介者イエス・キリストが,「事物の体制の終結のしるし」の一部として,「不法が増すために,大半の者の愛が冷えるでしょう」と述べて予告された事柄に,あえて屈することはありません。その言葉はさらにこう続いています。「しかし,終わりまで耐え忍んだ人が救われる者です。そして,王国のこの良いたよりは,あらゆる国民に対する証しのために,人の住む全地で宣べ伝えられるでしょう」― マタイ 24:3,12-14

6 (イ)マタイ 24章14節は単なる預言にすぎませんでしたか。(ロ)それを預言以上のものとみなしているのはだれですか。彼らの忍耐については何と言えますか。

6 王国についての世界的な証しに関するこの最後の言葉は,単なる予告の言葉ではありませんでした。それは,「事物の体制の終結」の時期に生活するキリストの弟子たちに対する命令でした。それは,単に神の律法に対する不敬な態度が見られるだけでなく,広く不法のはびこっている,愛のない事物の体制が完全に終わる時まで,正しい行動を取るための指針でした。今日,イエス・キリストのこれらの言葉を自分たちに対する命令とみなしている真のクリスチャンはだれでしょうか。1919年以来,増し加わってきた歴史上の諸事実は確かに,「それはエホバの証人です」と答えます! 王国に関する証人たちの聖書教育運動は古今未曾有の大規模なものですし,証人たちは過去67年間,忍耐強くその運動を推し進めてきました。その運動は今や,規模と力強さの点で年ごとに増大しています。

7,8 (イ)第一次世界大戦中,サタンは,新しい契約に入っている人たちに対して何をしようとしましたか。(ロ)大戦後の時期に,王国にかかわる論争はどのように前面に躍り出ましたか。

7 悪魔サタンは第一次世界大戦中,霊的なイスラエル人の少数の残りの者を一掃させて,この驚異的な聖書教育運動を阻もうとしました。サタンは失敗しました! 彼らは1919年の夏に,その死のような状態から復興した後,直ちに同年9月に米国オハイオ州シーダー・ポイントで戦後最初の大会を開催しました。1922年9月の第二回シーダー・ポイント大会では,王国にかかわる論争が前面に躍り出ました。その大会の「重大な時代」という主題の設けられた四日目に,ものみの塔協会の会長は声を大にして次のように話し,その感動的な講演をすばらしい最高潮に持ってゆきました。

8 「では,至高の神の子の皆さん,野外に戻りなさい! 自分の武具を身に着けなさい! 冷静にし,油断なく警戒し,活発に働き,勇敢でありなさい。主の忠実な真の証人でありなさい。バビロンが跡形もなく荒廃するまで戦いで前進しなさい。音信を遠く広く告げ知らせなさい。世界は,エホバが神であり,イエス・キリストが王の王,主の主であることを知らねばなりません。今はあらゆる時代のうちで最も重大な時代です。ご覧なさい,王は統治しておられます! あなた方は王のことを広く伝える代理者です。それゆえに,王とその王国を宣伝し,宣伝し,宣伝しなさい」。

エホバのことを一層はっきりと知るようになる

9 (イ)その義の政府に関する証拠が増大しているので,人々はどんな立場を取らなければなりませんか。(ロ)それを推奨する立場を取る人たちには,どんな知識が与えられていますか。

9 キリストが1914年に王国の支配権を得て即位されてから,今や70年以上たちました。その時以来,神の義の政府に関する証拠は大いに増大しました。人類の世の人々は王国にかかわる論争に関して,王国を支持するか,これに反対するかのいずれかの立場を取らなければなりません。そして,神のその政府を支持している人たちには,新しい契約に関する次のような重要な言葉が成就しています。「彼らはもはや各々その友を,各々その兄弟を教えて,『エホバを知れ!』とは言わない。彼らはその最も小なる者からその最も大なる者に至るまで,皆わたしを知るからである」― エレミヤ 31:34

10 (イ)それで,霊的なイスラエル人の残りの者はどんな名称のもとに,「ほかの羊」を喜んで迎え入れるようになりましたか。(ロ)「ほかの羊」はどんな知識を得ましたか。

10 霊的なイスラエル人の残りの者は1935年に,りっぱな羊飼いの「ほかの羊」をイエス・キリストのもとにある「一つの群れ」に喜んで迎え入れて自分たちと活発に交われるようにしました。そのすべてはエホバの証人なのです。それ以来,人数が何らあらかじめ定められていない「大群衆」を構成するようになる,それら「ほかの羊」は,霊によって生み出された残りの者と共に,「神のおきてを守り行ない」,「イエスについての証しの業」を行なうようになりました。(啓示 7:9-17; 12:17)こうして,1935年以降,それら「ほかの羊」もまた,「その最も小なる者からその最も大なる者に至るまで」エホバのことを知るようになりました。

11 エホバに関するクリスチャンの知識は,律法契約のもとにあったユダヤ人の知識とどのように異なっており,またそれよりもどのように勝っていますか。

11 しかし,エホバに関するクリスチャンの知識は,古いモーセの律法契約のもとでユダヤ人が持っていた知識とはどんな点で異なっており,またどんな点で勝っていますか。新しい契約の天的な作成者はさらに,「わたしは彼らのとがを許し,彼らの罪をもはや思い出さないからである」と告げておられます。(エレミヤ 31:34。ヘブライ 8:12)それは,新しい契約が勝った仲介者による勝った犠牲に基づいているからです。(ヘブライ 8:6; 9:11,12,22,23)勝った仲介者の勝った犠牲は,古いモーセの律法契約のもとで守られていた年ごとの贖罪の日の場合のように,繰り返しささげられる必要はありません。(ヘブライ 10:15-18)このすべてを考えれば,新しい契約に入っている人たちや,そのもとにある人たちの持っている知識は,ユダヤ人が律法契約のもとで持っていた,神に関する知識よりも確かに勝っており,人をさらに富ませ,さらに識別力を深めさせる,さらに完ぺきなものです。

12 とりわけ,エホバは,新しい契約に入れられた人たちとそのもとに置かれた人たちに対してどんな立場を保持しておられますか。

12 とりわけ,契約作成者エホバ神は,ご自分が新しい契約にお入れになる人たちと,そのもとに置いてくださる人たちを治める王です。(マタイ 5:34,35。エレミヤ 10:7)使徒パウロは,イエスが1914年に天で王として即位されるよりも1,850年も前に,新しい契約の律法に従う人たちを治めるエホバの王権を指摘し,「では,朽ちることがなく,人が見ることのできないとこしえの王,唯一の神に,誉れと栄光が限りなく永久にありますように。アーメン」と述べました。―テモテ第一 1:17

「大患難」後の千年王国

13 (イ)「大群衆」は,新しい契約から注がれる祝福に,いつ,またどんな状況の中で,あふれるほど豊かに浸るようになりますか。(ロ)新しい契約のどんなすばらしい目的が達成されることになりますか。

13 新しい契約に入っていないものの,そのもとにある「ほかの羊」の「大群衆」は,「大患難」を生きて切り抜けることを待ち望んでいます。滅びに定められた現在のこの事物の体制が滅亡した後,それらの人々は清められた地を治めるイエス・キリストとその共同の相続者たちによる統治を千年間享受します。(啓示 7:9-14)その時には,新しい契約の目的,つまり神の天の王国の相続者になる「特別な所有物となる民」を生み出す目的は達成されていることでしょう。(ペテロ第一 2:9。使徒 15:14)生き残る「ほかの羊」の「大群衆」には,神の王国により,祝福があふれるほど豊かに注がれるでしょう。悪魔サタンと目に見えないその悪霊の組織は底知れぬ所に入れられてしまい,物事を妨げることはできなくなってしまいます。―啓示 21:1-4; 20:1-3

14 生き残る「大群衆」は,どんな良い備えができているでしょうか。

14 「ほかの羊」の生き残る「大群衆」は,新しい事物の体制のもとで生活を始める良い備えができているでしょう。それらの人々は霊的なイスラエル人の残りの者と同様,「その最も小なる者からその最も大なる者に至るまで」神について知っていることでしょう。(エレミヤ 31:34)いま統治しておられる王は,かつて神への祈りの中でこう言われました。「彼らが,唯一まことの神であるあなたと,あなたがお遣わしになったイエス・キリストについての知識を取り入れること,これが永遠の命を意味しています」。(ヨハネ 17:3)ですから,エホバ神に関するその総括的な知識は,永遠の救いをもたらすものとなります。これは,生きて「大患難」から救われる「肉なる者」だけでなく,王の声を聞いて,記念の墓から出て来る何十億人もの死者にとってもその通りになるでしょう。エホバに関する必要な知識はすべて,それら復活させられる人々に授けられるようになります。―マタイ 24:21,22。ヨハネ 5:28,29。啓示 20:11-15

15 新しい契約が果たされる時,「ほかの羊」の「大群衆」は,どうして何の損失も被らないのでしょうか。

15 神の新しい契約がたいへん首尾よく果たされる時,滅びに定められたこの事物の体制の滅亡を生き残る,羊のような人々の「大群衆」は,幸いにも損失を被ることはありません。それどころか,清められたこの地上で,さらにすばらしい祝福にあずかる道が開かれ,それらの人々はその地を自分たちのものとして受け継ぎ,それを世界的なパラダイスに変える業に最初にあずかります。(マタイ 25:34。ルカ 23:43)今や間もなく,地を損なっている者たちはいなくなり,「エホバを待ち望む者たちは,地を所有する者とな(り)……柔和な者たちは地を所有し,豊かな平和にまさに無上の喜びを見いだす」ようになります。(詩編 37:9-11)新しい契約が果たされた後の「平和の君」によるエホバ神の千年王国を,すべての人が歓呼して迎えますように!

[研究用の質問]

[119ページの図版]

神の王国の良いたよりは,この体制が終わる前に,全地で宣べ伝えられます