治療に関するあなたの選択
治療に関するあなたの選択
医師のイザドール・ローゼンフェルドは,代替医療をテーマにした自著の中で,次の点を強調しています。「健康に関するどんな処置や介入であっても,“効く”と確信している一群の人たちを無作為に選んでそれを施すと,半数は快復することがある」。
これをプラシーボ効果と言います。たとえ砂糖の錠剤でも,効くと信じれば本当に効くということです。このプラシーボ効果によって,痛み,吐き気,疲労,めまい,思い煩い,憂うつな気分などの自覚症状を緩和できます。この事実は何を明らかにしているでしょうか。
一つには,どんな治療を受けているとしても,その治療法に確信を抱いていることが,多くの場合,快復の重要な要素になるということです。同時に,ある治療法が,症状のみにとどまらず問題の根本原因と取り組んでいるかどうかを調べるのも賢明なことかもしれません。これは,実験室でのテスト
やX線など,客観的な方法で治療効果を評価することによって行なえます。とはいえ,何らかの医療を選択する際にできることがまだあります。
大切な手順
決定を下す前に調べるのは賢明なことです。次のような質問をしてください。どんな結果を期待できますか。どんな長所や短所がありますか。治療にかかる費用や時間はどうですか。自分が考慮している治療を受けたことのある人に聞いてみてください。それが役立ったかどうかを尋ねてください。しかし,過去の事例だけでは惑わされる場合があることも忘れないでください。
通常療法ではないものの中には,賢明とは言えない療法もあります。それは,限界があるとはいえ成功した実績のある通常療法を先延ばしにさせるような方法です。ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン誌(英語)のある報告には,有害な結果になり得ることを示す証拠が載せられています。同誌は,代替療法を行なっている間,通常療法を拒んだ二人の若い患者のがんが進行したと記述しています。一方の患者は亡くなりました。
慢性病の人や生死にかかわる病気にかかっている人が,いかさま療法を推し進める詐欺師の格好の標的になり得るという事実にいつも注意を払うのは賢明なことです。幅広い種類の病気に効能あり,とうたっている製品にはぜひ用心してください。最近では,「呼吸疾患や体力不足,果ては生死にかかわる病気まで,あらゆるものを一掃する助けとなってきた」とされる新しいビタミン剤の事例があります。分析した結果,その“ビタミン”は単なる食塩水にすぎませんでした。
代替療法の中には,健康の増進に役立つものも確かにあります。しかし,現実離れした期待を抱いてはなりません。栄養のあるものを食べ,よく眠り,十分な運動を行ない,用心深く医療を選択することなどに注意を集中するのは賢明な方法です。
追い求めていたものが実現する
言うまでもなく,人間の施す治療によって,あらゆる病気が,またその結果としての死がなくなるわけではありません。わたしたちは,先祖である最初の人間アダムからそれらを受け継いでいるからです。(ヨブ 14:4。詩編 51:5。ローマ 5:12)どんな種類の医療であれ,実際に役立つ方法はたくさんあることでしょう。とはいえ,それらは限られた期間だけ寿命を延ばし,生活を楽しくさせる当座しのぎの手段にすぎません。しかし,健康の問題には確実な解決策があり,何百万という人がすでにそれを見いだしています。
その解決策は,わたしたちの創造者であり,偉大な医師でもあられるエホバ神によって備えられています。わたしたちは,エホバに信仰を働かせ,罪を贖うみ子イエス・キリストの贖いの犠牲の益を十分に受けることにより,病気のない世界で完全な健康と永遠の命を享受することができます。(マタイ 20:28)その新しい世では,「『わたしは病気だ』と言う居住者はいない」と,聖書は約束しています。―イザヤ 33:24。
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何百万という人が,完全な健康が得られるという,唯一の確実な希望を見いだしてきた