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世界展望

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「ネット上のいじめ」?

携帯電話やインターネットは,多くの若者にとって友達づきあいに欠かせない。しかし,「友人関係を台なしにすることもある」と,カナダのマクリーンズ誌は言う。「ネット上のいじめっ子」から,Eメール,インスタント・メッセージ,携帯電話のメールなどでひどい嫌がらせをされることがあるからだ。同誌によると,「カナダではインターネットを使う若者の25%が,他の人への憎しみを表わす内容のメールを受け取ったことがあると述べた」。電子機器を使ったそのような嫌がらせについて警察は,殺すという脅しを書くのは犯罪に当たる,と警告している。同誌は親たちに対して,子どもがオンラインで接触する人やウェブサイトについて親子で話し合うこと,またコンピューターを家族みんなの目に触れる場所に置いて,子どもが何を読み何を送っているのかを監督しやすくすることを勧めている。さらに,子どもたちには,嫌がらせのメッセージに返事を書いたりしないよう,また個人情報が漏れるのを防ぐため,「たとえ親友であっても,他の人にログイン名やパスワードを教え」ないようにと注意を促している。

車が増えて,問題も増える

「中国は自転車王国から車社会へと変わりつつある」とチャイナ・デーリー紙は言う。現在,自動車の保有台数は世界全体では人口1,000人当たり120台なのに対して,中国では1,000人当たり20台だが,今後,急激に増加すると予測されている。国務院発展研究センターの副主任,陳 清泰は,自動車の保有台数が増えれば,多くの国民の生活も向上すると見ている。しかし,陳氏は問題についても予想し,「車の排気ガスを効果的に抑制できなければ,都市の環境汚染の要因となるのは,これまでの石炭ではなく自動車だろう」と述べている。すでに中国の幾つかの都市では自動車が一酸化炭素と窒素酸化物の最大の発生源となっている。それで,2008年の北京<ペキン>オリンピックまでに汚染を減らそうと,様々な努力が払われている。

結婚詐欺

南アフリカには,自分が知らぬ間に“結婚”したことになっていたという女性が3,000人余りいる,とヨハネスブルクのソウェタン紙は報じている。中には,雇用契約書だと思って署名したのが実は婚姻証書だったという例もある。婚姻証書があれば,外国人の“花婿”は南アフリカの永住権を取得できる。“花嫁”は,紛失した身分証明書の再発行を申請した際,姓が変わっていることが分かって初めて詐欺に気づく場合もあれば,自分の本当の結婚式の日に届け出に行き,自分が既婚者として記載されているのを知る場合もある。“結婚”を無効にするのが複雑で面倒なこともある。それでも,詐欺に遭った女性のうち約2,000人は,身に覚えのない結婚を取り消すことができた。詐欺を防ぐため,新しい法律では,外国人の配偶者は結婚後5年たってからでなければ永住権の申請ができないことになっている。

考古学上の珍しい発見

死海の近くの洞窟を調査していた考古学者たちが,2,500年前 ― つまり,ユダヤ人がバビロンでの流刑から故国へ帰還したころ ― のものと見られる装身具などを発見した。エルサレムのヘブライ大学およびラマートガーンのバルイラン大学のその考古学者たちは,金属探知機でそれらの物品を探し当てた。発見された貴重な品の中には,青銅の小さな鏡,銀のペンダント,半貴石のビーズと金で作られたネックレス,バビロニアのめのうの大メダル,月に身をかがめるバビロニアの祭司を描いた印章などが含まれる,とAP通信は伝えている。「発掘品の量といい,年代といい,ほとんど前例のない,非常に珍しい発見だ」と,イスラエル国立公園自然保護局の考古学主任研究員ツビカ・ツクは語った。

子どもの脳卒中

「カナダでは1日に少なくとも1人の子どもが脳卒中を起こしている」とバンクーバー・サン紙は伝えている。脳卒中を起こした子どもはすぐに治療を受ける必要があり,そうしないと「もっと大きな発作」を起こして「神経にさらに損傷」を受けることになる,とカナダ小児虚血性発作研究所所長の神経科医ガブリエル・デベバーは言う。バンクーバー・サン紙によると,「脳卒中の発作から3時間以内に血栓溶解剤を投与しなければならない」。ところが,子どもの脳卒中は,「他の発作や偏頭痛と誤診されやすい」。脳卒中の兆候として,「特に体の片側のしびれや脱力感,意識の混乱,言語の障害,目が見えなくなる,めまい,突然の激しい頭痛などがある」と同紙は述べている。若い人の脳卒中は,心臓病やがんに対するある種の治療に起因する場合もある。「子どもの肥満や高脂肪の食事」も危険因子ではないか,と考える専門家もいる。

汚染された食物

環境保護団体「トキシクス・リンク」の調査結果によれば,南アジアの人々はふだんの食事で危険な汚染物質を摂取している,とインドの新聞「ヒンズー」は報じている。その調査で,禁止や規制の対象となっている物質が肉や香辛料や油などの基本的な食品から検出された。ポリ塩化ビフェニル(PCB)のような残留性有機汚染物質は,「おそらく[PCBの]禁止前に輸入された変圧器や蓄電器が古くなって見境なく投棄されて」,あるいは船の解体所から排出されて自然環境に入った,と同紙は述べている。他の幾つかの調査の結果,野菜と魚の干物からDDTも検出された。そのような有害物質を規制するための国際協定が結ばれているにもかかわらず,『母乳,脂肪組織,人間の血液の中に,DDT,ヘキサクロロベンゼン,アルドリン,ディルドリン,[ダイオキシン],フラン,PCBなどが高濃度で含まれていた』と,その記事は言う。

銃で様変わりした社会

「武器類,とりわけ小型武器の拡散は非常に広範囲に及んでおり,[世界じゅうで]1分に1人,1年で50万人以上が命を奪われるまでになっている」と,ロンドンの新聞「インディペンデント」は明らかにした。「2001年には,軍事用の弾薬が160億発分作られた。世界のすべての人を二度撃てるだけの量だ」。銃器も毎年800万丁近く製造され,その大半は一般市民が使う。アムネスティ・インターナショナル,オックスファム,および「国際小型武器行動ネットワーク」による調査研究が指摘しているように,「かつてはおおむね平和で,もめごともげんこつやナイフでけりをつけていた社会は,銃が使われるようになって様変わりした」。攻撃用ライフルが通貨として使われている国もあれば,年配の女性に英語を教えた男性が授業料として手りゅう弾を受け取っていたという国もある。さらに別の国では,「父親のお気に入りの攻撃用ライフルにちなんで,子どもに『ウージー』や『AK<アク>』という名前が付けられている」と同紙は述べた。