モンハナシャコの目
だれかが設計?
モンハナシャコの目
● オーストラリアのグレートバリアリーフにすむモンハナシャコは,動物界で最も複雑な視覚システムを持っています。「実に並外れており,我々人間がこれまでに作り出したどんなものよりも優秀である」とニコラス・ロバーツ博士は言います。
考えてみてください: モンハナシャコは,人間にはまねのできない仕方で偏光を知覚して処理することができます。偏光には,直線偏光(光波の振動方向が一定)や円偏光(光波の振動方向が円を描く)があります。モンハナシャコは,他の生物とは異なり,直線偏光と円偏光を感知するだけでなく,一方を他方へ変換することもできます。そのため,視覚が優れているのです。
DVDプレーヤーにもこれに似た仕組みがあります。DVDプレーヤーは,情報を処理するため,ディスクに照射する偏光をまず円偏光に変換し,次いでそれを直線偏光に戻します。しかし,モンハナシャコは一歩先を行っています。標準的なDVDプレーヤーは赤い光(高解像度のプレーヤーは青い光)だけを変換しますが,モンハナシャコの目はあらゆる色の可視光線を変換できます。
モンハナシャコの目を参考にすれば,現在よりもずっと大容量のディスクを再生できるDVDプレーヤーの開発が可能ではないか,と研究者たちは考えています。「見事なまでにシンプルな構造は,感動的と言うほかない。人間が考案したどんな装置よりはるかに優れている」とロバーツ博士は述べています。
どう思われますか: モンハナシャコの持つ驚異的な目は偶然に生じたのでしょうか。それとも,だれかが設計したのでしょうか。
[24ページの図版のクレジット]
Courtesy Stephen Childs